高血圧の環境要因と遺伝的体質

高血圧の大半を占める本態性高血圧の発症には、環境要因と、高血圧になりやすいもともとの遺伝的体質があります。 環境要因としては 「 過食による肥満塩分の摂りすぎアルコール喫煙ストレス食生活の乱れ運動不足」などがあります。 また、同じように食塩を摂っていても、高血圧になる人とならない人がいます。 これは、高血圧になりやすい遺伝的な体質が関係するためだと考えられ、 両親またはどちらか一方が高血圧の場合、その子供も高血圧になる傾向があります。


■生活習慣

▼塩分の摂り過ぎ
塩分の摂り過ぎに注意することが肝要です。 食事から摂った塩分は、ナトリウムとして血液中に入り、余分なナトリウムは尿とともに排泄されます。 しかし、”塩分の摂り過ぎ”などで血液中のナトリウム濃度が高まると、濃度を一定に保つために血管内に水分が引き込まれます。 同時にのどが渇いて水分を多く摂るようになります。 その結果、血液量が増加し、血圧が上がります。
また、ナトリウムには交感神経を興奮させて血圧を上げる作用もあります。 日本高血圧学会が定めた「高血圧治療ガイドライン2004」によると、1日の塩分摂取量は高血圧患者が6g未満になっています。 血圧が正常な人でも1日10g未満が目標です。 ところが、日本人の平均的な塩分摂取量は1日11~12gと多いのです。 食塩による血圧上昇の程度 (⇒食塩感受性)には個人差があるとはいえ、 塩分摂取は控えめにした方がいいでしょう。

▼肥満
肥満を防ぎ適性体重を維持することも大切です。特に内臓脂肪型肥満は要注意です。 糖尿病など生活習慣病の対策として、メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)の予防が指摘されています。 肥満は高血圧の要因になるだけでなく、生活習慣病の引き金にもなるので、体重管理に取り組む必要があります。
【関連項目】:『肥満と高血圧』

▼その他
飲酒、喫煙、運動不足、過度なストレスに加えて、冬場は寒さ対策にも気をつけましょう。 居間と廊下やトイレ、お風呂場との温度差を極力なくすとか、熱いお湯や長湯を避けるなどの注意が必要です。
【関連項目】:『高血圧とアルコール』 / 『高血圧とタバコ』

■遺伝的体質

同じように食塩を摂っていても、高血圧になる人とならない人がいます。 これは、高血圧になりやすい遺伝的な体質が関係するためだと考えられ、 両親またはどちらか一方が高血圧の場合、その子供も高血圧になる傾向があります。 現在、高血圧に関する直接関係する遺伝子が、いくつか見つかっていますが、1つ1つの遺伝子の影響は、 あまり大きくないとされています。そのため、大部分の高血圧は、遺伝的な体質に環境要因が加わることで、 発症すると考えられています。 例えば、世界32ヶ国の52集団で、高血圧の危険因子と血圧の関係を調べた研究では、 食塩の平均摂取量の少ない地域に住む人々は、加齢に伴う血圧の上がり方が非常に緩やかであることがわかっています。


■加齢・性別・動脈硬化

また、年齢や性別も高血圧に関係しています。高齢になるほど高血圧の人は増えてきますし、男性は女性に比べて、 高血圧になりやすいことがわかっています。厚生労働省の調査でも30~40歳代の高血圧の患者さんの割合は、 男性が女性を大きく上回っています。この年代の女性の血圧が比較的低いのは、女性ホルモンなどの影響だと考えられています。 しかし、閉経後は、男性と同じように高くなってくるので、油断はできません。

血管壁が弾力を失い、厚くもろくなるのが「動脈硬化」です。 動脈硬化が進むと、血管の内腔が狭くなります。すると、血液が流れにくくなって、末梢血管抵抗が高まり、 血圧ががってしまいます。動脈硬化は「血管の老化現象」とも言われ、年齢が上がるにつれ進行します。 一般に、血圧は加齢とともに徐々に高くなっていきますが、これは動脈硬化の進行と密接な関係があります。 また、高齢になると、動脈硬化が進み、太い血管の弾力性が低下しがちです。その影響で、高齢者の高血圧では、 収縮期血圧は高く、拡張期血圧は低くなり、収縮期血圧と拡張期血圧の差である 「脈圧」 が大きくなる傾向があります。男性の方が女性よりも10年早く高血圧を発症するというデータがあります。